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高橋英樹 オフィシャルWebサイト

警察が来た

– まさかの強盗…!? Episode 3 –

いや、マジでそんなことがあったんです。大学を卒業したての頃なんて、僕はほとんど仕事も無く、バイトと練習に明け暮れる日々でございました。その時のお話です。

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Episode 2はこちら

捜査スタート

一連の騒動があった後、すぐに警察を呼びました。さすがに人が死ななくてもコンビニ強盗は立派な事件なのか、はたまた日曜の夜はヒマなのか、5分位で10人位すぐに来てくれました。 警察官が来る直前に入ってきた二人のお客さんは、実況検分が始まるのでお引き取り願い、以降、新たなお客さんは警官が入り口でシャットアウトして、捜査がスタートします。とりあえずおおよその被害額を調べ、つり銭を用意し、レジを復旧しました。

警官「犯人は複数犯?それとも一人」
我々「一人です」

警官「どっちに逃げた?車?徒歩?」
我々「すぐに追いましたが、店の外に出た時には後ろ姿も見当たりませんでした」

警官「服装は?背格好は?」
我々「全身黒ずくめで白いマスクをしてました。手袋もしてました」

警官「犯人が来た時、あなた方は何をしていたの?」
我々「店内で検品と値付け、品出しをしていました」

警官「被害金額は!?」
我々「大体11万5千円です」

警官「犯人は複数犯?それとも一人」
我々「一人です」

警官「どっちに逃げた?車?徒歩?」
我々「すぐに追いましたが、店の外に出た時には後ろ姿も見当たりませんでした」

警官「服装は?背格好は?」
我々「全身黒ずくめで白いマスクをしてました。手袋もしてました」

警官「犯人が来た時、あなた方は何をしていたの?」
我々「店内で検品と値付け、品出しをしていました」

警官「被害金額は!?」
我々「大体11万5千円です」

警官「犯人は?一人」
我々「一人です」

警官「逃げた方向は?車?徒歩?」
我々「すぐに追いましたが、店の外に出た時には後ろ姿も見当たりませんでした」

警官「服装は?背格好は?」
我々「全身黒ずくめで白いマスクをしてました」

警官「犯人が来た時、あなた方は何をしていたの?」
我々「店内で検品と値付け、品出しをしていました」

警官「被害金額は!?」
我々「大体11万5千円です」

って、おいちょっと待て!!!何でさっきから同じ様な質問を聞いてくるんだよ!まったく、記者会見でも開いてやろうか!!?って言うくらいにですね、さっき答えた質問を、何人もの刑事が別々に聞いてくるのです。そして、刑事はそれぞれが別々にメモを取り、およそ情報の共有化というものがなされておりません。

挙句の果てには、「とられた紙幣の内訳は?ほら、一万円札が何枚とか、五千円札が何枚とか、あるでしょ!!?」って、そんなもの把握している訳がないでしょ!?

「強盗が来る前に、店内に下見に来る様な、怪しい人が来なかった?」って、そんな怪しい格好で下見に来るわけがないでしょう!?来ていて気がついたらその事を真っ先に報告してますよ!

「どっちに逃げた?」って、だからさっき答えたでしょ!!!?

もうね、始めは相手が警察官だからって、真面目に答えていたのですが、いいかげん馬鹿な質問ばかりを繰り返すので、もうほとほとうんざりしてしまいましたよ。いや、ちょうど不祥事の発覚が相次いだ神○川県警の管轄だったので、一気に不信感がつのりました。

鑑識も来た

そうこうしている内に、いよいよ鑑識のご登場です。早速手詰まり感が出てきちゃった捜査に、一筋の光明が差しました。僕も珍しいので捜査を見守ります。
まず、犯人の指紋の採取です。とは言っても、犯人は手袋をしていたので指紋なんか残っている訳がないのですが、そこはそれ。なんせ国家権力のやることですから、僕はただ見守っていました。

当然誰かの指紋は残っているので、その特定はしなければなりません。

「はい、じゃああなた方(バイト)の指紋を取ります。店長さんもご協力ください。」

もうね、有無を言わさずに、僕が拒否をする選択肢なんか始めから用意されていない口ぶりなのです。まあ、その時はそこまで頭が回っていなかったので、僕も捜査には協力しなければいけないと思ってましたし、自分の両手全指の指紋を押しました。相方も、店長も押しました。鑑識がそれを鑑識車(というかどうかは知りませんが)に持ち帰り、すぐに指紋の照合が行われました。

「出てきたのは店長さんと、バイトのお二人の指紋です。そのほかは、誰か分かりませんが半分だけの指紋、あと子供の指紋ですね。」
「あぁ、やっぱり駄目か。そりゃ手袋していちゃね。。。」
「手袋していたんでしょう!?」「あぁ、じゃあ駄目だね」異口同音に刑事たち。

って、おいおい!!!だからさっきから「手袋していた」って言ってるでしょう!?

まあ、世の中には「一応」という、全ての物事を半ば強制的に合理化する、素晴らしい言葉があるので、「一応」指紋採取も行ったのでしょうがね。もうね、こちらの不信感は頂点に達しているのです。これが捜査なのか!?居酒屋じゃないんですから、「一応」で指紋なんて注文(採取)しないでほしいですよね。
「すみませーん!!!あっ、生中飲む人!?」「あっ、俺も」「じゃあ俺も!一応」「じゃあ生中みっ、一応四つ!どうせ誰か飲むでしょ!!?」みたいなね。

指紋の採取と同時に、足跡(実際は靴の跡)の採取も進められておりました。
まずね、床に強烈なライトを当てて、何か足跡が残っていないか、鑑識官が地べたにへばりついて探すわけです。

「チッ。ぜんぜん残っていないや。床磨き過ぎなんだよなぁ。。。」

……っておーいい!!!!
床の掃除は我々の仕事ですから!せっかく熱心に掃除したのに、「磨きすぎ」は無いでしょう!なら、警察命令で、「強盗の足跡が残らないので、今後は床は余り熱心に掃除しないようにお願い致します。」って、全てのコンビニに要請してくれよ!!!!!

まったくもう!!!例により、我々の靴跡も採取されました。こちらは簡単、30cm四方位の大きさの、セロファンテープのデカイやつみたいなのに、自分の靴を押し当てて、サイズはもちろん、靴裏のゴムなどの形状を写す訳です。
こちらは何とか甲斐あって、従業員以外の靴裏が採取されました。しかし、それが犯人の物であるかどうかの確証はありません。

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